南米植物文化研究ノート

南米の植物にまつわるあれこれ。個人的な研究の記録です。

【植物園紀行その2】みずの森

 今月初め、仕事で京都へ行く予定があり、帰りに「みずの森」という名前の植物園に行ってきました。正式な名称は「草津市立水生植物公園みずの森」といいます。草津と言っても温泉で有名なところではなくて、滋賀県草津市。琵琶湖につきだした烏丸半島にあります。「植物と人、水と人とのふれあい」をテーマにした3.7haの公園で、ロータス館という温室&展示・教育施設も園内にあります。この館に興味をもったのは、南米に見られるオオオニバスなどの珍しい熱帯植物がみられるときいたからです。

 草津駅から琵琶湖博物館行の路線バスにゆられること30分。バスは街を抜けると水田や麦畑に囲まれた細い道を走り、やがて蓮の田が見えてきます。

 

      (バスの窓から見えた風景)

 

 琵琶湖博物館の次が水生植物園なのですが、ここからバスが折り返すらしく、終点と思って安心していたら駅に連れ戻されそうになりました(笑)。おかげでちょっと面白い建物も見ることができましたし、琵琶湖の一端も拝むことができました。琵琶湖は日本一大きな湖で面積およそ669平方キロメートル、広し。

 

偶然見つけた琵琶湖開発総合管理所湖南管理所

奥の方に堆肥配布終了との文字が見えますが、湖の刈草を利用して堆肥を作り配布しているそうです。

 

なんの網だろう? 葦(ヨシ)がたくさん生えているのがわかります。

 

この時期、公園(有料)の入り口で出迎えてくれるデビルズハンドトゥリー(英語 悪魔の手の木)学名 Chiranthodendron pentadactylon

 メキシコ南部、グアテマラ原産だそうです。ナワトル語ではmacpalxochitl 。"xochitl"は「花」という意味だと聞いたことがあるのですが、"macpal"は調べてもわかりませんでした。単語の意味としては、「手のひらの花」という意味だそうです。スペイン語ではFlor de manitas(小さな手の花)。たしかに細長く伸びたおしべは爪っぽい。英語圏の人たちには悪魔の手に見えるようですね。

 

 水生植物公園というだけあって、園内には三つの池があり、さまざまな水生植物が植えられていました。6月の初旬ということもあってスイレンやアヤメがきれいでした。いまごろは蓮の花も開き始めていることでしょう。

 

 

 真珠の養殖場を再現した(?)風景。万葉の小道、山の小道など名前の付いた風情ある散歩コースも。

 

 子連れに喜ばれそうな遊具広場や、妖精の森などもあります。

シダレエンジュのドーム。

 

中に入ると…


温室も小さいけれど見やすい工夫がいろいろされていました。

 

 奥に見えるのはパラグアイオニバス(Victoria cruziana) アルゼンチン、パラグアイ原産で、葉のふちが立ち上がっているのが特徴。

 

 

 スイレンよりだいぶ小さいけど、よく見ると可愛い花が咲いていました。ガガブタ Nymphoides indica *1という水草。在来種ですが、水質の悪化により、いまでは準絶滅危惧種だそうです。

 

 草津は遠く南米から来た方も多く暮らすと聞くところ。琵琶湖線のなかや、公園でも数人、どことなく南米の風を感じる人たちとすれちがいました。植物たちが遠い国から来て日本で暮らす方たちの心のいやしになっていることを祈ります。

 

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