南米植物文化研究ノート

南米の植物にまつわるあれこれ。個人的な研究の記録です。

沖縄の植物たち(2) 道端の花

(1)につづき、ひきつづき『沖縄の身近な植物図鑑』を参考に、今年の11月初めに私がであった植物たちを紹介していきます。

 

タイワンモクゲンジ 

ムクロジ科モクゲンジ属 Koelreuteia elegans subsp. formosana(台湾原産)

 

 たぶん自分は車の運転には向いていないと思う理由として、気になるものがあるとそれ以外のものに注意が向かないという特性があります。とくに植物に目がありません。電車やバスに乗ると窓から植物を見て楽しんでいます。

 

 この木は街路樹につかわれているのですが、樹冠に色の違う部分があるので、不思議な色の花をつけているようにみえ、ずっと見入ってしまいました。でも花にはしてはどうもおかしい。もやもやしていたのですが、図鑑によればそれは実だったのですね。そして木の下に落ちていたのがこちらの実でした。折り紙の風船をしぼませて桃色に色付けしたような。これに種が入っています。

 

 

 次は、モノレールの下を流れる川のへりの細い道のわきに咲いていた花。センダングサの仲間サシグサ(タチアワユキセンダングサ、オオバナノセンダングサ。キク科センダングサ属 Bidens alba)です。白い花びらが印象的です。タネは細長く放射状につき、とげとげがあるので洋服などによくひっかかかります。熱帯アメリカ原産で、お茶や山菜、ヤギの餌*1としてつかわれるとか。

 

 

 

▲同じセンダングサ属の北関東のコセンダングサ Bidens pilosa L. 北アメリカ原産

花びらがありません。

 

 こちらはクリーム色のコトブキギク。 キク科コトブキギク属 Tridax procumbens。これも熱帯アメリカ原産だそうですが、道路わきでがんばっていました。

 沖縄にはハイビスカスを始めとして、色鮮やかで華やかな花も多いけど、こんな地味な植物もよく見るとかわいかったです。

 

 最後にお約束のハイビスカス(アオイ科フヨウ属 Hibiscus hybridus)を。


 写真の物とはちがいますが、花弁が波状の赤いハイビスカスはブッソウゲと呼ばれる古くから沖縄にあるもので(中国から伝わったと考えられる)墓前、仏前に供えられる花*2だそうです。

 ハイビスカスというとハワイを想う方も多いと思いますが、私には沖縄のイメージが強いです。1980年の『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』は、主人公の寅次郎と因縁のある歌手リリーが沖縄で病に倒れ、寅さんが見舞いに行くというお話です。寅さんのダメ男ぶりにいらっとさせられもしますが、”本土復帰”からまだ間もない沖縄の街の様子が見られる作品です。(1980年、山田洋次監督)  

 そういえば、今年は復帰から50年の節目の年です。私が初めて沖縄に行ったのは1990年代半ばで、まだモノレールができる前でした。今回行ってみて、モノレールが大きく街を変えたような印象を持ちました。東京や北関東のこの街だって、開発に次ぐ開発でずいぶん変わりましたけれども、ね。

 

 

空港で、沖縄の海のサンゴを使って焙煎しているハイビスカスティーを発見

35COFFEEオフィシャルサイト | 35ハイビスカスティ | 沖縄県

 

(つづく)

 

 

*1:林将之、名嘉初美編『沖縄の身近な植物図鑑』2022年

*2:林将之、名嘉初美編『沖縄の身近な植物図鑑』2022年による