南米植物文化研究ノート

南米の植物にまつわるあれこれ。個人的な研究の記録です。

植えたら最後  ハゼラン

 ハゼラン Talinum paniculatum Talinum crassifoliumとする説も*1ハゼラン科 ハゼラン

 亜熱帯~熱帯アメリカ原産 多年草 50センチぐらいの高さまで成長。アフリカ大陸の一部やフィジー、東南アジア、中国にまで普及している。

 

 日本では観賞用に持ち込まれたものが逃げ出し、いまでは雑草化しています。英語でcoral flower(さんご花)、jewels of opal(オパールの宝石)、スペイン語ではrama de sapo(カエルの枝), フランス・スベリヒユ、ブラジル(ポルトガル語)で太っちょマリア(Maria gorda)、日本では、三時草という別名などがあります。というのも計ったように午後3時になると咲きだすからです。つぼみも実も、丸くて小さい愛らしい姿で、紅色の5弁の花も美しいのですが、要注意です。

 

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方眼3ミリのスケッチブックの上で撮影。

 

 もう5年以上前のことになるのですが、仕事に行く道すがら、この花を見て可愛いなあと思い、種を採って帰ってベランダの鉢にまいたのです。それ以来、初夏から秋にかけて毎年楽しませてくれる花… というと聞こえがいいのですが、いたるところに種をまき散らし、ぬいてもぬいても出てきます。というわけで、今はちょっとした頭痛の種。

 

 なお、琉球(沖縄)では「イチズル」「イチジューリュー」と呼ばれ、薬草としての使い方も伝承されているようです。

ハゼラン | 亜熱帯生物資源データベース (u-ryukyu.ac.jp)

 

 食べることもできるときいて試してみましたが、軽く炒めて食べた食感は、ぬるっとしていてツルムラサキのようでした。独特の香りも似ていました。youtubeでは"espinaca silvestre (スペイン語。野生のホウレンソウ)"と紹介するビデオもあり、食べられる野草という認識は共通しているようです。

 

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つやつやした立派な葉が茂ります。枝分かれした先に花をつけるので、うまく写真が撮れません。ご近所さんの庭先にて。

 

 驚くのはその根の存在感。放置しつづけると、可憐な花に似合わず、ちょっとした芋のように存在感のある大きさになります*2。葉も摘めども摘めども増えますから、しっかり光合成して根に栄養を蓄えているのですね。参りました!

*1:wikipedia 日本語

*2:根の形から来ていると思われる、ジャワの人参Ginseng Jawaという名前もあります。